宮本見聞録

毎年春になるとジムには新しい顔が増えるんだけど
入門してくる何人かの高校生の中に「ボクシングがすぐに上手くなる子」ってのが一人はいる。
　俺が最初にそれを見たのは大城聖都でその２年後に荻堂盛太が入門、もう10年以上前の話し
この二人が後にプロになって東京後楽園ホールで戦うってのもドラマなんだけど

　二人とも俺には無いもの持ってる
俺は不器用で愚直なボクサーだったから
そういうボクサーって自分に無いもの持ってるボクサーを見るとすぐに反応してしまう
あー俺はあんな動きできねーって

荻堂は高校のアマの試合で始めはあんまり勝てなかった
でもジムのみんなはいつかこいつが上に行くって期待してた
練習量もホントに多かったから
センスあって練習量もあって段々勝ち始めて
なんだか俺らも嬉しかった。

実力つけてそれからすんなりプロデビューとは行かず
紆余曲折あり平仲ジムからプロデビュー
そっからも新人王戦の途中で辞退してブランク

もう辞めるのかな

けど戻ってきた
移籍やら色んな問題もあったみたいだけど
戻ってきた。

また連勝して新人王勝ち上がっていった。
そっからは強者の悩みもいっぱいあったみたいだし
本当に頭抱えることもたくさんあったと思う
それでも平仲ジムを引っ張ってあいつは頑張ってました。

お疲れ様。




　その過程で色んな結末もあるけど
平仲会長があそこまでして荻堂盛太を平仲ジムからプロデビューさせたから
あの幟だって横断幕だって声援だって受け取ることができた
平仲会長には感謝してるはず
そして家族も友達も応援するのが楽しかったと思う
ボクシングじゃなくても
同じように一生懸命に自分らしく生きることがその人達への恩返しだと思う。

頑張ろう荻堂盛太

映画のキッズリターン風に言うと

まだ始まってねーよ

俺たちはまだまだこれからが人生だよ。